注意力や発想の転換を必要とする”ポイント&クリック”の面白さをしっかりと踏襲しつつ、どこか一つ違う次元から「ゲーム」という題材を捉えた作品。
各ジャンルへのステレオタイプや最近のゲーム市場が抱える問題等を上手くネタにしつつ、ゲーム自体や開発者たちへのリスペクトも感じられる。
ただ、メインタイトルにあるような部分はかなり序盤の方でネタとして使いきっている感じがある他、展開のバリエーションや構成の比重にやや引っかかる点があって、失速感を覚える部分もところどころ。
(ジャンルからも想像がつくように)リプレイ性は殆どなく、一回きりのマウス操作で介入しつつ観られる長めのコメディ作品 と捉えた方が良さそう。
その上で価格に対して満足できるかどうかが評価の分かれ目だと思う。
[h2]よかった点[/h2]
[b]ローカライズ[/b]
しっかりとローカライズがされており、作品や作者の意図を取りこぼしにくくなっている。
[b]操作の簡潔さ[/b]
マウス操作のみで進行する。
入力方法自体に気を取られるような場面がない。
[b]とっつきやすいメタ要素[/b]
メタを取り扱う作品では、別次元であるプレイヤー自身の行動を咎めてくるようなものが多いが、そういった重々しさは本作にはほぼなく、メタな要素についてもカジュアルな触れ方している。
どちらかというと、ゲームをよく触っている人間から見た時の「あるある」をネタとして、プレイヤーと作品自体にツッコませているような感じ。
メタ要素を取り扱うような作品に触れたことのないプレイヤーにはとっつきやすい作品。
[h2]気になった点・イマイチな点[/h2]
[b]リプレイ性[/b]
当然ながら少ない。ジャンル的にリプレイ性は低いものなので普通であれば気にならないのだが、(後述の理由も相まって)全体的に胃もたれしやすく、ただでも反復プレイに向かないジャンルである本作のリプレイ性にしっかりとトドメを刺してしまっている。
1周自体は長めに遊べるのと、この手の作品で何周もしようと思うプレイヤーがそもそも少ないと思うので、そうそうマイナスポイントにはなり得ないが注意は必要。
[b]構成の偏り[/b]
この作品はゲームやソフトウェアのメタを題材としているが、正直なところ掘り方はかなりまばら。
「ゲームの世界」という文言から「いろいろなゲームの世界を巡っていくタイトル」と推測しているのであれば、肩透かしを食らうと思う。
実際遊んでみると全体構成の中でも特定のジャンルの比重が大きくなりすぎている他、「ゲームの世界」の多様性はその偏りを補うほどは高くなかったので、一通り体験した後にボリューム不足感を覚えてしまう。
また、単純にそのセクションが占める時間が長くなってしまうのもあって、失速してダレているような感覚に陥る。