シナリオ・プログラム・主演すべて一人の手による小規模インディープロジェクトの実写ミステリ。
いわゆる「Her Story」フォロワーのひとつ。ていうかそのまんま。微妙に素人臭いUIのせいもあって二番煎じ感はぬぐえない。
しかしプロットと根気さえあれば低予算でも作れるというところがこのスタイルの強みなので、個人開発者が真似したくなるのも自然な流れであろう。なのでオリジナリティにはいったん目をつぶり、単体のゲームとしての出来で評価することにする。
[h1]システム[/h1]
過去の殺人事件の事情聴取映像を検索して真相を探る、というコンセプトはおなじみのものだが、「解き心地」はだいぶ違う。
細かいシステム面から先に見ていくと、まず検索の仕様に違いがあり、キーワードを二個以上指定しての絞り込みができなくなっている。また人名などの固有名詞については完全一致でないとヒットしない(フルネームで呼ばれる場面であれば必ずフルネームが必要)。
これらの制約によって未発見クリップを見つける難易度が上がっている一方、代わりの糸口とかは特に提供されないので、次に何を探せばいいか悩む場面が発生しやすい。勢い、一般的な頻出英単語を手当たり次第に入力してみるといった雑な手法に頼らざるを得なくなるかもしれない。
ただ一度見たクリップは自動で時系列順にソートされ、いつでも見返すことができるというのは便利。むしろなんでHer Storyにはこの機能がなかったのかと言いたい。
[h1]シナリオ[/h1]
プレイ感の差異は脚本構成から来ている部分も大きい。
Her Storyは早い段階から「あっそういうことだったのか!」と気付いて見方が変わる仕掛けがあったのに対し、こちらはそういった種明かしが少数のクリップに偏っているため、情報を整理できないまま手探りで捜査をしなければいけない状態が長く続く。つまりプレイヤーにとってはゲームの進展を感じにくいということになる。
特に最終盤に関しては(以下解き方のヒントとなるネタバレあり)[spoiler]エンディングのトリガとなる最重要クリップがただ一個のみ存在するのだが、そこにたどりつくためにはゲーム外の知識に基づいてキーワードを連想しないといけない[/spoiler]という点が難易度を極端に引き上げている。
その核心部分のどんでん返しには確かにインパクトがあり、個人的には結構好きな展開だったといえるのだが、ディレクションのまずさで損をしていると感じる。
小説ではないのだから「最後まで読めばわかる=最後までたどりつけないと何もわからない」ではなく、もっと情報を小出しにして段階的にプレイヤーに気付かせる構成が必要だったのではないか。
[h1]言語について[/h1]
言語は英語のみ。動画と字幕テキストが分離されておらず、作者もあまり翻訳に乗り気でないため、多言語対応は望み薄。
なお(おそらく意図的に)字幕を載せていないムービーが一つだけあるのだが、よりにもよってこれは物語上きわめて重要なことを喋っているシーンであり、しかも一回しか流れないというのがとても困る。つまり英語リスニングが不可避。
どうしてもの時はアプリフォルダ内の動画ファイルを直接再生するというチートに手を出しても責められないのではないだろうか。
※最近のChromeなら動画ファイルをドラッグ&ドロップしてブラウザ上で再生すれば自動生成字幕を出せるよ!
[h1]総評[/h1]
システム・シナリオとも既に誰かがやっているアイデアではあるが、それらを組み合わせて独自の個性を出そうという試みには成功しており、遊ぶ価値のある作品になっている。
ただしノーヒントで解こうとした場合の難易度の高さ、一箇所だけとはいえ英語リスニング不可避というハードルの高さが如何ともしがたい。自分の好みには合致する作品であったものの、なかなか人には勧めにくいのが実情。
Her Storyを既に楽しんでいて、(英語でもいいから)別シナリオの類似作品を遊びたいという人であれば、期待通りの体験が得られるはずなので買ってみてもいいだろう。ただしノーヒントクリアにはあまりこだわりすぎない方がいいと思う。
[h1]ハマった人のための直接的なヒント(8~9割埋めたが核心にたどりつけていない人向け)[/h1]
Q.ときどき出てくる[spoiler]謎のフラッシュバック映像って何[/spoiler]?
A1.[spoiler]何回か出てくるが、最初のうちは断片的でよく聞こえないので気にしなくていい。ゲームを進めていけばそのうち完全版が流れる。[/spoiler]
A2.[spoiler]特定の一個の「最重要クリップ」を見つけた瞬間に完全版が流れて、ようやく内容を判別できるようになる。字幕がない唯一のムービーというのはこれのこと。いきなりだと文脈がよくわからないかもしれないが、エンディングに関わる重要な話をしているので、どうにかして聞き取ろう。[/spoiler]
Q.[spoiler]その最重要クリップって本来どうやってたどりつくのが正解なの[/spoiler]?
A1.[spoiler]Jordan氏が昔アメリカのある有名な場所を見学したことを語るクリップがあるが、これはただの思い出話ではない。何か違和感が潜んでいないか考えてみよう。[/spoiler]
A2.[spoiler]どうも我々の知る史実と違うことを言ってはいないだろうか?そして取調官がそこに口を挟んだ様子がないのはなぜだろう?[/spoiler]
A3.[spoiler]もしJordan氏の語る説明に嘘がないのだとしたら、存在が消えている固有名詞は何だろう?[/spoiler]
シナリオ・プログラム・主演すべて一人の手による小規模インディープロジェクトの実写ミステリ。
いわゆる「Her Story」フォロワーのひとつ。ていうかそのまんま。微妙に素人臭いUIのせいもあって二番煎じ感はぬぐえない。
しかしプロットと根気さえあれば低予算でも作れるというところがこのスタイルの強みなので、個人開発者が真似したくなるのも自然な流れであろう。なのでオリジナリティにはいったん目をつぶり、単体のゲームとしての出来で評価することにする。
[h1]システム[/h1]
過去の殺人事件の事情聴取映像を検索して真相を探る、というコンセプトはおなじみのものだが、「解き心地」はだいぶ違う。
細かいシステム面から先に見ていくと、まず検索の仕様に違いがあり、キーワードを二個以上指定しての絞り込みができなくなっている。また人名などの固有名詞については完全一致でないとヒットしない(フルネームで呼ばれる場面であれば必ずフルネームが必要)。
これらの制約によって未発見クリップを見つける難易度が上がっている一方、代わりの糸口とかは特に提供されないので、次に何を探せばいいか悩む場面が発生しやすい。勢い、一般的な頻出英単語を手当たり次第に入力してみるといった雑な手法に頼らざるを得なくなるかもしれない。
ただ一度見たクリップは自動で時系列順にソートされ、いつでも見返すことができるというのは便利。むしろなんでHer Storyにはこの機能がなかったのかと言いたい。
[h1]シナリオ[/h1]
プレイ感の差異は脚本構成から来ている部分も大きい。
Her Storyは早い段階から「あっそういうことだったのか!」と気付いて見方が変わる仕掛けがあったのに対し、こちらはそういった種明かしが少数のクリップに偏っているため、情報を整理できないまま手探りで捜査をしなければいけない状態が長く続く。つまりプレイヤーにとってはゲームの進展を感じにくいということになる。
特に最終盤に関しては(以下解き方のヒントとなるネタバレあり)[spoiler]エンディングのトリガとなる最重要クリップがただ一個のみ存在するのだが、そこにたどりつくためにはゲーム外の知識に基づいてキーワードを連想しないといけない[/spoiler]という点が難易度を極端に引き上げている。
その核心部分のどんでん返しには確かにインパクトがあり、個人的には結構好きな展開だったといえるのだが、ディレクションのまずさで損をしていると感じる。
小説ではないのだから「最後まで読めばわかる=最後までたどりつけないと何もわからない」ではなく、もっと情報を小出しにして段階的にプレイヤーに気付かせる構成が必要だったのではないか。
[h1]言語について[/h1]
言語は英語のみ。動画と字幕テキストが分離されておらず、作者もあまり翻訳に乗り気でないため、多言語対応は望み薄。
なお(おそらく意図的に)字幕を載せていないムービーが一つだけあるのだが、よりにもよってこれは物語上きわめて重要なことを喋っているシーンであり、しかも一回しか流れないというのがとても困る。つまり英語リスニングが不可避。
どうしてもの時はアプリフォルダ内の動画ファイルを直接再生するというチートに手を出しても責められないのではないだろうか。
※最近のChromeなら動画ファイルをドラッグ&ドロップしてブラウザ上で再生すれば自動生成字幕を出せるよ!
[h1]総評[/h1]
システム・シナリオとも既に誰かがやっているアイデアではあるが、それらを組み合わせて独自の個性を出そうという試みには成功しており、遊ぶ価値のある作品になっている。
ただしノーヒントで解こうとした場合の難易度の高さ、一箇所だけとはいえ英語リスニング不可避というハードルの高さが如何ともしがたい。自分の好みには合致する作品であったものの、なかなか人には勧めにくいのが実情。
Her Storyを既に楽しんでいて、(英語でもいいから)別シナリオの類似作品を遊びたいという人であれば、期待通りの体験が得られるはずなので買ってみてもいいだろう。ただしノーヒントクリアにはあまりこだわりすぎない方がいいと思う。
[h1]ハマった人のための直接的なヒント(8~9割埋めたが核心にたどりつけていない人向け)[/h1]
Q.ときどき出てくる[spoiler]謎のフラッシュバック映像って何[/spoiler]?
A1.[spoiler]何回か出てくるが、最初のうちは断片的でよく聞こえないので気にしなくていい。ゲームを進めていけばそのうち完全版が流れる。[/spoiler]
A2.[spoiler]特定の一個の「最重要クリップ」を見つけた瞬間に完全版が流れて、ようやく内容を判別できるようになる。字幕がない唯一のムービーというのはこれのこと。いきなりだと文脈がよくわからないかもしれないが、エンディングに関わる重要な話をしているので、どうにかして聞き取ろう。[/spoiler]
Q.[spoiler]その最重要クリップって本来どうやってたどりつくのが正解なの[/spoiler]?
A1.[spoiler]Jordan氏が昔アメリカのある有名な場所を見学したことを語るクリップがあるが、これはただの思い出話ではない。何か違和感が潜んでいないか考えてみよう。[/spoiler]
A2.[spoiler]どうも我々の知る史実と違うことを言ってはいないだろうか?そして取調官がそこに口を挟んだ様子がないのはなぜだろう?[/spoiler]
A3.[spoiler]もしJordan氏の語る説明に嘘がないのだとしたら、存在が消えている固有名詞は何だろう?[/spoiler]