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Dear Esther

ページ更新日:
38
Dear Estherのゲーム画面・キャラクター画像
◆Dear Estherの内容◆
Begin a journey through one of the most original first-person games of recent years.
Dear Esther
発売日未定
The Chinese Room
Dear Estherの評判
良い評判
Dear Esther、親愛なるエスターの影を追い、”彼”は無人の小島を彷徨う
日本語化modあり、またPLAYISMから日本語版が販売されている

まず語らなくてはならないのは、これは本当にゲームなのか? ということ
本作には一切の選択がなく、プレイヤーが出来るのは島を彷徨う”彼”の視点と歩みを動かすことだけ
スプリントもジャンプも不可能であり、インベントリも存在しない、ライトのON-OFFですら自動で行われる
荒廃していながらも美しい島を眺めながら静かに流れる音楽を聞き、”彼”の独白に耳を傾けることで本作は進行する
おそらく明確に言い切ることが出来る人はいないだろうが、少なくとも筆者はこれはゲームであると思う
無理やり既存の枠に本作を当てはめるとすればADVなのだろうが、このジャンルにおいてほとんどの作品が(ビジュアルノベルでさえも)
「プレイヤーが行うことの出来る」選択肢を用意していることから、今作はゲーム性のないデジタルノベルと同じだ、という人もいるかもしれない
だが同じ一本道とはいえ、クリックして次のテキストを表示するという行為が、ページをめくる行為と相違ないデジタルノベルとは大きくことなり、プレイヤーは視点を動かし、歩を進めることが出来る、そして”彼”の独白には幾許かのランダム性がある
つまり他のプレイヤーと同じ状況は生まれようがない、誰かが海を眺めながら聞いていた独白を、貴方は月を眺めながら聞いているかもしれないのだ
このまったくもってランダムな「体験」はゲームといって差し支えないだろう

さて今作の内容だが、正直に言って多くの人には退屈かも知れない
というのも”彼”の歩みは遅く、ただ歩くという行為しか出来ないので、短気な人にはまったくもって向かない
また物語になにかしらの派手さを求めている人にもおそらく合わないだろう。筆者も最初の二十分ほどが非常に退屈に思われた
だが歩み続け、洞窟のシークエンスまで到達した時、多くの人が今作に引き込まれ、また激しく印象を受けるであろう
多様な光の青に覆われ、何本もの蝋燭が揺らめく洞窟を極上の音楽と独白を聞きながら巡り、そこから抜けだして月の煌めく夜空と再びで会った時、島に対するそれまでのうら寂しい荒野のような印象は消え去り、その美しさに目を見張ることになる
本作はSource Engineで作られており(unityへの移行が計画されている模様)ビジュアルが飛び抜けていいというわけではない
だがここまでの印象と幻想的な美しさを感じさせるのはUE4やCryEngineなどのビジュアル表現に長けたエンジンを使用しても簡単に出せるものではないだろう
ここまでくると多くのプレイヤーは”彼”の物語へと引きこまれており、最後まで一気にプレイしたくなっているはずだ
そして”彼”の独白で語られる物語は漠然としていて、全てを捉えることが出来ない
多くの人物が語られ、起きた結果だけは確かであるがその過程、人物関係などは謎のままである、というのは語り部が一人こそあれ、芥川龍之介の藪の中を彷彿とさせる、というのは言い過ぎだろうか
プレイヤーが明確に読み取れるのは”彼”がエスターという女性を深く深く愛していたということだけであり、エスターが”彼”とどんな関係にあったのかすら明確には分からない。妻、恋人、娘、叶わぬ恋の相手、あるいは”彼”が”彼”そのものを死に至らしめんとする病原菌であると考察する人もいるようだ
さらにいえば”彼”は本当に島を歩いているのかどうかも分からない、途中幻覚としか思えないシーンが挿入されるが、そもそも島自体が幻覚、あるいは夢である可能性だってある(無数に置かれた輝く蝋燭、岩壁や洞窟内に描かれた化学式らしき線、まるでイコンのように飾られた超音波エコー装置などがその疑念を強める、だが”彼”が明るいうちに置いた可能性だって捨てきれない)
そして最後のシーン、”彼”は死んだのだろうか、それとも生きている?いやそもそも死んでいた?
真実は分からない、だがインタビューで開発者の一人はこう述べている

[i] 確かに理解できない部分もわざと用意してありますが、
決してプレイヤーを惑わせるためのものではなく、
あくまでもプレイヤー一人ひとりに個々の解釈を持ってもらうためです。
そこには、正解も間違いもありません。

ただ、物語を少しずつ提示されると、人は勝手に想像力で埋めようとしますよね。
その行動は、良い物語づくりには欠かせないものだと考えています。[/i]

つまりはそういうことだろう、プレイヤーは”彼”の独白から何かを感じ取れる、その感じ取ったもの、それがおそらく真実なのだ

本作は決して万人向けの作品ではないだろう、だがハマる人にはカチッとはまるはずだ
他のADVや、下手をすると映画よりもずっと短いプレイ時間の中でこれほど強い印象を抱かせる作品はそうそう存在しないであろう
少しでも肌に合いそうだと感じたのなら是非プレイして見てほしい
悪い評判
代表的なウォーキングシミュレーターのひとつ。島を巡りつつ主人公の独白を鑑賞する流れ。
ゲームではなくアート作品と言った方が正しい。

本オリジナル版はSource Engineで作成されており、有志による日本語化が可能。
(過去には正式に日本語版も発売されていた-2017.5現在、公開停止)
Unityで作り直されたLandmark Editionよりも、こちらの方がビジュアルにメリハリがあり好きである。

とは言え、走ることもジャンプもできず、ただ歩き回ってナレーションを聴くだけ。
物語に興味を持てなければ退屈だと感じるかもしれない。
ゲームとしては楽しめなかったが、VR空間でもう一度彷徨ってみたい作品だ。

ネタバレになってしまうが、[spoiler] 内容は「恋人のエスターが交通事故で亡くなり、その後を追うため荒廃した島を彷徨う」話だ。[/spoiler]彼は一度だけジャンプすることになるだろう。
Dear Estherの攻略サイト