『ISLAND』レヴュー
グリザイアシリーズで有名な「Frontwing」の作品です。現在進行形でアニメ化されている注目作ということで、steam版をとりあえず購入しました。全エンディングをコンプリートした記念としてレヴューをしたいと思います。ネタバレはありませんが、その分曖昧でレヴューとしては意味不明かもしれません。なので、プレイされていない方はなんとなくの雰囲気だけを掴んでいただければ幸いです。
〈注意点〉
はじめに、今から購入を検討されている方に注意点があります。購入を検討されている方で少しでも『ISLAND』に興味がある方は、アニメ記念版の方を購入することをお勧めします。ちょっとお金を払うだけで豪華特典がたっぷりついてきます(ステマじゃないです)。また、現在steam版の値段は高いですが、今後セールによって大幅に値下げされる可能性があります。そのことも考慮して購入を控えるのも一つの手です(ただ、割とこの作品は面白いのでフルプライスで買ってもあまり後悔はしないと思いますが)。
私のようになんとなくsteam版を購入するよりも、アニメ記念版を購入するか、あるいはセールを待つ方がおそらく賢い消費者になれると思います。
〈シナリオ〉
率直に言って、この『ISLAND』という作品について語ることは難しいです。語らなければならないことが多すぎますし、しかも面白さを語ろうとすると必然的にネタバレになってしまいます。とにかく、この作品には壮大な謎と伏線が無数に満ちており、それらが複雑に絡み合っています。初めのうちはこのゲームがどのような物語なのかいまいち分からないでしょう。しかし、進めていくうちに少しずつ面白さが分かっていき、『ISLAND』の世界に没入していく感じがします。つまり、右も左も分からない世界が少しずつ明らかにされ、そのなかで考察を行うという知的な面白さがあります。
『ISLAND』というゲームの面白さの一つは、物語が二転三転していくということにあります。プレイヤーは物語中の様々な問題に仮説を立てながらプレイしていくことになると思います。しかし、物語を進めると様々な事実が明らかになりプレイヤーは巧みに翻弄されることになります。この常に不安定な状態が物語に緊張感を与えて面白いです。
また、このゲームはいわゆる美少女ゲームというやつでもあります。なので、ごくごく普通の恋愛ゲームとしてみてもなかなかです。ヒロインはかわいいですし、ヒロインと主人公の関係性がなかなかうまく描かれています。個人的には、記憶を持たない主人公のアイデンティティが各ヒロインを通じてうまく形成されていく過程が面白いです。『ISLAND』という作品は、何者でもない主人公がヒロインを通じて何者かになっていく物語という見方もできる気がします。
全体的を通してみると、扱っているテーマが非常に多く、そのテーマの多様性に驚かされます。そしてその膨大なテーマをうまくまとめ上げ、一つの壮大な物語になっていることに感服です。
〈テキスト〉
分かりやすい文章でテンポがよいです。難解な物語と設定を分かりやすく語ることができているシンプルながら良い文章です。ややこしいことをシンプルに誰にでも分かるように話すことできるのは一つの能力だと私は思います。
また、コミカルな場面とシリアスな場面の書き分けができています。どのような場面でも違和感なく書くことができている点にライターの実力の高さを感じます。
更にいうと、この作品の構造はかなり計算されており、うまい具合に完成されています。この作品構造が割と面白いので、この作品をプレイする価値はあると思います。
〈絵〉
キャラクターのイラストを描いている方は空中幼彩さんで、可愛らしくて幼いキャラクターが特徴です。この作品のヒロインが全員ロリっぽいのはこの人の影響でしょう。絵の好みは個人差が大きいと思いますが、個人的には悪くないと思います。プレイしていてもヒロインの表情が豊かで、喜怒哀楽がうまく伝わってきました。
あと、このゲームのスチルはかなり綺麗です。私はヒロインの中では凛音が好きなのですが、彼女のスチルは幻想的な美しさを持っていて、画面の中の世界に引き込まれる感じがしました。
〈ボイス〉
不満はないです。むしろかなり豪華と言えるでしょう。非18禁ゲームなので、声優に少し興味がある人ならばすぐに分かるような有名な方の名前ばかりです。メインヒロインである凛音の声は田村ゆかりさんが演じていますが、特に彼女の声と演技は素晴らしいです。下手をしたら、このゲームをプレイしていて一番印象に残ったのは彼女の声かもしれないです。また、他の方の演技もやはり水準が高いです。
〈音楽〉
正直に言ってしまうと、サウンドトラックを購入したくなるほどのものではありませんでした。Key作品などで見られるような強烈に印象に残るような個性を持った曲はありません。しかし、音楽の質が悪いというわけではありません。どちらというとこの作品の音楽はシナリオやシーンを引き立てるように使われているという印象を受けました。BGMの使うタイミングがうまいので、なかなか効果的にBGMが機能していると言えるでしょう。
〈システム面〉
さすが大手Frontwingのビジュアルノベルという感じで、システム面での不満点は全くありません。フローチャートがあるので、攻略する際のストレスもありませんでしたし、見たいシーンを簡単に見ることができるのは良いです。また、システムボイスが付いていることが何気に良かったですね。システム周りは細かい部分ですが、そういった細かい部分が充実しているとすこし得した気分になります。
〈まとめ〉
長々と文章を書いてきましたが、結局のところこの作品はどうなのか。
一言でいうと、「良作」です。
手放しで傑作と言いたいところですが、さすがにそれは言い過ぎな感じがしますし、私にはこの作品よりもっと好きなビジュアルノベルがあります。しかし、この作品は非常に完成度が高く、隙の少ない作品であると思います。当たりか外れかどちら選ぶならば、この作品は間違いなく当たりの作品でしょう。
少なくとも、比較的好意的なレヴューを長々と書きたくなるくらいには、私にとって面白い作品であったと思います。