[h1]突然ですが、私は犬に転生してボール遊びをすることになりました。[/h1]
12の犬種、各3色(一種だけ2色)、ぜんぶで35匹の中からはじめに1匹好きな犬を選んで、転生することになりました。
以下はその体験談になります。
私は犬の特性などにあまり詳しくないので、あのスヌーピーと同じ犬種であるビーグルを選びました。
どういうわけか、視界の端に「[b]犬を雇う[/b] ビーグルと養子縁組」という謎の文字が飛び出してきたのですが、よくわかりませんでした。雇う?養子縁組…?
(ちなみに他の犬種を選んだ時は、「[b]犬を雇う[/b] 〇〇を採用」となるらしいです)
これからどんな人生…もとい犬生を送るのだろう?
そう考えながら目の前に現れるボタンを押していくうちに、いつの間にかとても広いお庭に転移させられていました。
その庭で、私は三人称視点で犬を見下ろしていました。
どうやら転生というより、憑依と言う感じです。
見回そうとすると犬の体ごと向きが変わってしまい、少々見づらかったです。
私のそばにはとても顔色の悪い飼い主がおりました。
例えるなら、まるでどこかのSTGにいるような、緑っぽい雑魚ゾンビのようです。
そうだ、今のこの姿では、ご主人と呼んだほうが良かったでしょうか!今後はご主人と書くことにしますね。
私にはご主人の考えていることがよくわかりません。
犬っぽくすり寄りコミュニケーションをとろうと試みたのですが、こちらを見るどころか無視をします。
近くに用意されていたエサ皿を平らげても、お水をゴクゴク飲み干してみても、ご主人はずっと無反応なのでとても寂しいです。
私とご主人の背後には、こんなに広いお庭には見合わない普通な家と黄色い乗用車、そしてそこそこ広めのガレージがありますが、まずはこのお庭にいるうちにご主人と遊んでもっと親密になり、元の肉体へもどる方法のヒントを探したかったので、後で行こうという事にしてこの時はスルーしました。
謎の多いご主人が唯一反応を示したものがあります。
それは、よくある犬用のボールでした。
ご主人にすり寄った時にそばに落ちていたのを発見したので、口にくわえて「あそんで~」とアピールをしてみたところ、相変わらず感情が読めないものの、口からボールを受け取って投げてくれたのです。
ほんの少しですが距離が縮まった気がして、うれしかったです!
ウキウキ気分で私は駆け出しました。
今思えば、この行動が元の世界へ帰るための鍵だったと同時に、悪夢の始まりでもあります。
ご主人が投げたボールを見つけたので戻ろうと振り向いたら、庭を囲う岩に不自然な穴が開いており、「向こう側」に迷路が見えました。
私はひかれるように、岩へと足を踏み入れてしまったのです……。
その岩は何種類かあり、見えていた景色へ実際に転移する装置だったみたいです。
先ほど私が岩の向こうに見た迷路へ迷い込んでしまいました。
私だけ転移されたのだと思っていたのですが、なんと微動だにしていなかったはずのご主人もいるではありませんか。
驚く私をよそに、ご主人はいきなりボールを投げました。
まるでこうなることが最初から分かっていたかのように、入り組んだ迷路の奥へ投げられてしまいました。
転移した時から、私の視界の左上にこの迷路のミニマップが見えるようになっていたので、迷うことはないだろうとタカをくくって拾いに行きました…が、私の現在地を表示するGPS機能だとか、方角に合わせた回転機能だとか、そんなものは全くついていないただの地図でした。
ただひとつボールの位置情報のみは追跡できるようなのでそれを参考に走ったのですが、口にくわえてしまうとボールの位置すらも地図上から消えてしまったため、やっぱり迷ってご主人の元へ戻るのに2倍の時間をかけることとなってしまいました……。
無事に持ち帰ると、ご主人はエサの代わりに、謎の「骨ポイント」を与えてくださいました。(使い道は後述します)
再び庭に戻る選択をした私は他の岩の景色ものぞいてみましたが、見るからにつらそうな雪原迷路や、火山のマグマに落ちたら犬生が終わりそうな迷路といった、過酷な景色ばかりでした。
不用心なことにガレージが開きっぱなしになっていたので、微動だにしないご主人をよそにコッソリ入ってみたのですが、そこには、檻に入れられた犬がたくさんいました。
よく見るとどの犬も見覚えがあります。
どうやら、私が憑依する際に選ばなかった他の犬たちのようです。
ただ閉じ込められているだけで酷い虐待をされているわけではなさそうなのですが、どの犬も全く生気がなく、魂の抜けた感じに見えました。
もしずっとご主人の「危険地帯でのボール遊び」に付き合っていたら、私もいずれ、こうなってしまうのでしょうか。
なんとかして助けられないかと思いそれぞれの檻に近寄ってみたら、謎の数字が現れました。
どうやら私があの「岩の向こう側」でご主人の遊びに付き合わされていたときにもらった骨ポイントを使えば、最初に選ばなかった犬たちに憑依しなおして自由にしてあげられるようです。
ポイントを大量にもらうためには、普通なら過酷なボール遊びを、素早く、何百回もクリアしなければなりませんが、もっと大量に、拾いに行く回数を抑えてポイントを得る方法がひとつありました。
それは、ご主人の家に止めてある車で、お外に出かけて遊ぶことだったのです。
ご主人とのお出かけで浮かれていた私に、更なる過酷な「ボール遊び」が課せられました。
彼は私に「君が車にぶつかるまでずっと続くよ」という信じられない説明をし、あろうことか、本当に道路に向かって勢いよくボールを投げてしまったのです!
この時の私は、とにかく他の犬を助けてあげたい一心で、その挑戦を受けて立つことに。
映画などの展開によくある「愛犬が車道に飛び出して事故に合うシーン」を頭の片隅に思い浮かべたのですが、その悪い想像を振り払えず、まさにその通りの展開になってしまいました……。
車に轢かれ、薄れゆく意識の中、転生世界でも死んでしまったのかと理解した途端、目の前に犬種選択と同じようなボタンが現れました。
庭に戻るボタンを恐る恐る選択したと思ったら、突如世界がクラッシュしたのです。
こうして現実世界にいきなり戻され、今の私がここにいるというわけです。
あの世界はいったい何だったのか。
何度か確かめに行ったのですが、あの車道でクラッシュした後、庭以外でのボール遊びを終了する際に毎回クラッシュするようになってしまい、私はもう完全に犬になりきることはできなくなってしまいました。
これをお読みくださった皆様も、もしかしたら転生する機会を得ようとしておられるかと存じますが、ボール遊びにはくれぐれもお気を付けください。