そこまで深みのあるものではありませんが、戦闘・探索・リソース管理全てにおいて独自性を出そうという工夫が見て取れて好感が持てます。
どの行動も「二人でしている」ことを表現するような操作になっており、かつそれが快適さにも繋がっている良いシステムです。
ただ、それ以上に魅力的なのは世界観・キャラクターといった物語部分。
「ストーリーはあってないようなもの、世界観に特筆すべき点はなく主人公たちも平凡」とのレビューがありましたが、全てとんでもない間違いです(その方がプレイした過去バージョンではそうだったのかもしれませんが)。
ゲームシステムと同様、ストーリーや世界観も「恋人」というテーマに適した切り口でありながらしっかりとした土台を持って展開されており、ありきたりさを感じさせるものではありません。
恋人同士である主人公のふたりが逃げ出してきたということは、元居た場所はふたりが恋人でいられないような社会でなければならない。ふたりが恋人であるからには、互いを愛し合うふたりにプレイヤーが感情移入できるような魅力と個性を備えていなければならない。こうした点がきちんと押さえられています。
何より、世界観やキャラクターのバックグラウンドを描写するのが上手い。説明的なセリフやアーカイブで補填するのではなく、最初はなんとなく雰囲気で掴ませつつシナリオ展開や会話で徐々に用語の意味やキャラクターの性格を把握させてゆく絶妙なバランスだと思います。
「ああ、フローってそういうアレね」「そういう生い立ちだからケイは面倒見がいいんだな」と納得できたときは独特の気持ちよさがありますし、説明されるのではなく自分で理解したのだからふたりに対する愛着も強まります。
一気に情報を語るタイプではない分、そうした楽しさを味わえるのはある程度プレイ時間を重ねたあとなので、ぜひ気長にプレイしてもらいたいです。インディーにしては結構値が張るほうだからすぐ投げるのはもったいないし。
[spoiler]内緒だけど、筆者が他のレビューのようにふたりのイチャイチャにうんざりせずに済んだのは同性カップルに設定できるおかげだったりします。GL、BLが好きな人には特におすすめ。[/spoiler]